善悪の概念が完全に崩壊したドラゴンボール超という作品

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 ドラゴンボールを子供の頃から楽しんでいたが、自分にとって、原作の魔人ブウ編からウーブが天下一武道会に現れるまでの空白の10年間をアニメ化した「ドラゴンボール超」という作品は一部楽しめた反面、モヤモヤも残る複雑な作品となってしまっている。

善悪を崩壊させた破壊神という存在

 ドラゴンボール超の最初に悟空の敵として登場したのが”破壊神”ビルスである。この破壊神何が厄介かというと、作中では”悪”として描かれていないこと。破壊神は文字通り破壊をするのが仕事で、とにかく星を破壊しまくる。その理由も創造するためには破壊が必要という宇宙の原理原則からなるものらしく、破壊は必要な事として認識されている。そして、破壊神は創造の象徴である界王神とは対の存在として定義されており、界王神が死ねば破壊神も死ぬという設定になっている。

破壊神ビルスとは?

 そして、悟空たちのいる宇宙の破壊神がビルスなのだ。ビルスは予知夢で見た”超サイヤ人ゴッド”という存在を求め、悟空たちに接触してきたのだが、その実力は歴代の敵がゴミレベルに感じるほど強く、純粋悪の魔人ブウと善戦していた超サイヤ人3の悟空がたった2発でやられてしまうレベル。めちゃくちゃ強い。

 そんなビルスは、ブウが食べたかったプリンを独り占めしたという理由で地球そのものを壊そうとする。結果としては、悟空が超サイヤ人ゴッドの力を手に入れ、ビルスの破壊を阻止するのだが、悟空はビルスを悪として認識していないどころか、ビルスの圧倒的な強さに心が踊り、尊敬の対象として見てるくらいだ。これがヤバいのだ。もう完全に破壊神という存在を受け入れてしまっているのだ。

また、破壊神の仕事が面倒くさいビルスは惑星ベジータを壊すようにフリーザに命令していたという衝撃の事実もあるのだが、そこは悟空もベジータも知らされていない。

昔のドラゴンボールだったら、悪そのものと言っていいレベルの破壊神を悟空を始めとする登場人物たちは全員受け入れ、もはや友達状態なのだ。破壊神は怒らせなければ、とても紳士的な存在とはいえ「それでいいのか?」とモヤモヤがどうしても残ってしまう。

破壊神より上の存在で全宇宙のトップ”全王”

全王初登場シーン

 そんな破壊神の存在だけでもヤバいのに、”全王”という更に厄介極まりない存在がいるのだ。”全王”は文字通り「全ての王」であり、これより上は存在しないという設定だ。そして、この”全王”は戦闘はできないが、人間だけでなく宇宙そのものを消滅させる力を持っていて、ドラゴンボールの中の強さという概念の中にいない存在なのだ。

未来のトランクスの世界を完全消滅させた”全王”

 この全王の最たる悪行が「未来トランクス編」だろう。セルを倒して平和だった世界に現れたバビディとダーブラが魔人ブウの誕生を企て街を襲撃。しかし、未来のトランクスは一人でダーブラとバビディを倒して魔人ブウの復活を誕生を阻止。束の間の平和が訪れた時、ゴクウブラック(正体はザマスという人類を絶滅させたい界王神)という敵が現れ、未来がめちゃくちゃにされる。未来の街はもちろん、ブルマもブラックによって殺害されるという悲惨な状況で過去に助けを求め、再び、現在の悟空とベジータ達の元へタイムマシンでやってくる。そうして、悟空たちの力を借りながら、トランクスは自分とわずかに生き残った地球人たちの希望の力を光の剣に集め、不死身のザマスの体を完全に消滅させる。

トランクスの世界を消滅させる全王

 ここでキレイに終わらせればいいものを、肉体を失ったザマスが概念のような存在となり不気味に空を覆い薄気味悪く漂いながら、生き残っている地球人を全員殺害。決着はつかなかった。概念化したザマスは攻撃しても無意味なため、万策尽きた悟空たちだったが、悟空が全王と友達になった時にもらった「全王呼び出しボタン」で全王を呼び出してしまい、概念化したザマスを消滅させるよう頼んだ。ザマスを消滅させ世界を再構築するのかと思いきや、全王は融通がきかないので、宇宙まるごと消滅させてしまう。慌てて、タイムマシンに乗り込んだ悟空たちはなんとか戻り、難を逃れたのだが、トランクスが必死に守ってきた未来の世界は完全に消滅するという超バッドエンドで幕を閉じた。

ネット上でも否定的な意見が多く「なぜ、あんな脚本にしたんだ!」とマジで怒る人も多い。しかも、全王の悪行はこれだけに留まらない。

宇宙サバイバル編の全王

 全王は気分屋である。なんとなく宇宙の数が多いからという理由で、12個ある宇宙のうち、8個の宇宙を消滅させるつもりだったが、1チーム10人×8つの宇宙で同時に戦わせ、最後まで勝ち残った宇宙のみが消滅免除という悪魔の所業と思える力の大会を開催。試合中に10人全員が場外負けになった場合、即時、消滅するという鬼ルール。8つの宇宙の強豪たちがどんどん脱落していき、全王によって、無慈悲に消滅させられていく。

第7宇宙のメンバーは以下のような異色のメンバー

  • 悟空
  • ベジータ
  • 悟飯
  • ピッコロ
  • 人造人間17号
  • 人造人間18号
  • クリリン
  • 天津飯
  • 亀仙人
  • フリーザ

 パワーバランスなど色々ツッコミどころはあるだろうが、この記事で問題にしたいのは、フリーザの存在である。フリーザは魔人ブウが冬眠状態に入ってしまった代役の選手としてあの世から1日だけ召喚するという流れなのだが、あの悪の帝王フリーザが過去に何をしてきたのか完全にガン無視で悟空が皆の反対を押し切って召喚するのだ。とはいえ、このフリーザが入ることで最高の戦闘シーンが生まれるのだから、不思議なものだ。こうして始まった力の大会は、最終的に、悟空の所属する第7宇宙の人造人間17号が最後の一人として武舞台に残り、優勝を果たし、最後まで競り合っていた第11宇宙は消滅。優勝した第7宇宙は消滅は免除され、最後の一人になった17号にはスーパードラゴンボールで願い事を叶える権利が与えらた。

 願い事を聞かれた17号は「消えてしまった全ての宇宙を元に戻すこと」だった。これにより、力の大会で消滅した全ての宇宙が復活するという一応はハッピーエンドな終わり方ではあったが、もし、17号が私利私欲のために願い事を叶えていたら、優勝した宇宙も含めて消滅させるつもりだったというトラップ付きだった。理不尽極まりない。

このように当たり前のように宇宙を消滅させる全王に対し、悟空たちは、一切の疑問も持たず、怒りを向けることもない。登場人物全員、全王や破壊神を完全に受け入れてしまってるのだ。

かつて、ドラゴンボールの敵キャラたちが抱いていた世界征服とか宇宙征服とかいう野望はゴミのような価値観となり果ててしまい、善悪の概念は完全に崩壊したと言えるだろう。

とは言え、面白かった所も多いドラゴンボール超

善悪の概念が完全に崩壊したドラゴンボール超ではあるが、力の大会は成功だったと言えるだろう。ドラゴンボール超開始当初は作画崩壊などが散々ネットで叩かれていたが、力の大会の頃には作画が持ち直し、迫力の戦闘シーンが沢山描かれることとなった。

また、原作ではほとんど出番のなかった17号が大活躍し、一気に人気を高めたアニメでもあったし、そんな17号と共闘するフリーザも斬新な組み合わせの掛け合いがあり、面白い場面も多かった。

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